介護サービス基準のパズル

介護サービスの基準・解釈通知・Q&Aを読み解く ~まずは「訪問介護」の基準から~

令和6年度介護報酬改定に係る通知の疑問(その1)

 6月から一本化される「介護職員等処遇改善加算」等の解釈通知は、「介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」(令和6年3月15日)に示されていますが、加算の告示基準との関係が明らかではないため、正しく読み解くためには、告示の規定と突き合わせて確認する必要があります。

 現在、「解説 訪問介護の基準」の改定作業を進めていて、告示と通知を関連付けてまとめていますので、どうしてもこのプロセスが必要になっています。

 その中で、通知の記載内容に疑問が出てきましたので、まとめておきます。

 

 賃金改善関係を除いた処遇改善の取組として「職場環境等要件」がありますが、告示では次のように規定しています。

厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第四号

訪問介護費における介護職員等処遇改善加算の基準

イ 介護職員等処遇改善加算(Ⅰ)

(8)(2)の届出に係る計画の期間中に実施する 職員 の処遇改善の内容(賃金改善に関するものを除く。)及び当該 職員 の処遇改善に要する費用の見込額を全ての職員に周知していること。

【編注】アンダーラインは、4月に、介護職員処遇改善加算(Ⅰ)の基準改正で、「介護職員」が「職員」に改正されたもの。なお、一本化前の介護職員等特定処遇改善加算(Ⅰ)の基準(7)の規定と同じ。

(9)(8)の処遇改善の内容等について、インターネットの利用その他の適切な方法により公表していること。

【編注】アンダーラインは、6月の改正で新設。なお、一本化前の介護職員等特定処遇改善加算(Ⅰ)の基準(8)の規定と同じ。

 

 一方、通知では、次のとおり記載しています。

3 新加算等の要件 
(1)介護職員等処遇改善加算(新加算)の要件

⑧ 職場環境等要件 
(令和7年度以降の要件) 
 令和7年度以降に新加算ⅠからⅣまでのいずれかを算定する場合は、別紙1表5-1に掲げる処遇改善の取組を実施すること。 
 その際、新加算Ⅰ又はⅡを算定する場合は、別紙1表5-1の「入職促進に向けた取組」、「資質の向上やキャリアアップに向けた支援」、「両立支援・多様な働き方の推進」、「腰痛を含む心身の健康管理」、及び「やりがい・働きがいの醸成」の区分ごとに2以上の取組を実施し、新加算Ⅲ又はⅣを算定する場合は、上記の区分ごとに1以上を実施すること。 
(以下略)

(令和6年度の経過措置) 
 上記の職場環境等要件の見直しについては、令和6年度中は適用を猶予する。したがって、令和6年度中の職場環境等要件としては、別紙1表5-2に掲げる職場環境等の改善に係る取組を実施し、その内容(別紙1表5-2参照)を全ての介護職員に周知すること
(以下略)

 令和7年度以降の取扱いでは、「全ての職員への周知」が漏れており、また、令和6年度では、「介護職員」に限定して周知することとしており、いずれも、告示の規定とは一致しないようです。

 この部分は、以下のとおり修正が必要ではないかと思います。

(令和7年度以降の要件) 
 令和7年度以降に新加算ⅠからⅣまでのいずれかを算定する場合は、別紙1表5-1に掲げる処遇改善の取組を実施し、その内容(別紙1表5-1参照)を全ての職員に周知すること。
 その際、新加算Ⅰ又はⅡを算定する場合は、別紙1表5-1の「入職促進に向けた取組」、「資質の向上やキャリアアップに向けた支援」、「両立支援・多様な働き方の推進」、「腰痛を含む心身の健康管理」、「生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組」及び「やりがい・働きがいの醸成」の区分ごとに2以上の取組を実施し、新加算Ⅲ又はⅣを算定する場合は、上記の区分ごとに1以上を実施すること。 
(以下略)

(令和6年度の経過措置) 
 上記の職場環境等要件の見直しについては、令和6年度中は適用を猶予する。したがって、令和6年度中の職場環境等要件としては、別紙1表5-2に掲げる職場環境等の改善に係る取組を実施し、その内容(別紙1表5-2参照)を全ての職員に周知すること。
(以下略)