介護サービス基準のパズル

介護サービスの基準・解釈通知・Q&Aを読み解く ~まずは「訪問介護」の基準から~

介護サービス事業所による「自己点検」とは

 厚生労働省が令和4年3月に作成した「介護保険施設等運営指導マニュアル」では、基準への適合について介護サービス事業所が自ら行う自己点検について、次のように記載しています。(第2章/第3節/2 運営指導/(2)介護保険施設等による自己点検)

 当該年度の運営指導の実施に当たっては、事前に集団指導を受けていることが望ましく、さらに基準等への適合性に関しては、介護保険施設等自身による自己点検が行われることが望ましいといえます。特に法第115条の32に基づき届け出ている業務管理体制における法令遵守責任者は、法令等遵守が果たされるよう取り組む責任があり、法令遵守責任者の指揮の下で自己点検を行うことが期待されます。

 運営指導においては、少なくとも介護保険施設等指導指針に定める確認項目及び確認文書(内容の詳細は本マニュアルで設定。別添1を参照。)の範囲のものについては、介護保険施設等自身で点検すべきものです。

 ただし、本来、介護保険施設等が遵守すべき法令等は確認項目及び確認文書で取り上げた内容だけでなく、介護保険法にまつわる全ての法令通知等であることは言うまでもありません。

 行政機関は、まずは介護保険施設等が自らの意思で自己点検を行うことができるよう支援を行う必要があります。本マニュアルには、介護報酬に関するものとして、別添2「各種加算等自己点検シート」、別添3「各種加算・減算適用要件等一覧」を掲載していますので、適宜活用してください。

 介護サービス事業所での自己点検で活用できるものとして、別添1「確認項目及び確認文書」、別添2「各種加算等自己点検シート」、別添3「各種加算・減算適用要件等一覧」が示されていますが、訪問介護の場合、その具体的な内容は、次のとおりです。

別添1「確認項目及び確認文書」(訪問介護の1ページ目)

別添2「各種加算等自己点検シート」(訪問介護の1ページ目)

別添3「各種加算・減算適用要件等一覧」(訪問介護の1、2ページ目)

 さて、これだけで、自己点検が本当に可能なのでしょうか?

 人員・設備・運営基準は、別添1「確認項目及び確認文書」で自己点検することになりますが、基準そのものを理解していることが前提となります。

 費用基準は、加算等については、別添2「各種加算等自己点検シート」と別添3「各種加算・減算適用要件等一覧」で点検することになりますが、そもそも、基本報酬に係る点検項目は何も示されていません。また、別添3には、費用基準の留意事項通知が含まれていません。

 したがって、別添1・2・3だけで自己点検を行うことには、限界があるのではないかと思います。

 それ以前の問題として、「人員・設備・運営基準」と「費用基準」の全体を、正しく理解しておく必要があるのではないでしょうか。