介護サービス基準のパズル

介護サービスの基準・解釈通知・Q&Aを読み解く ~まずは「訪問介護」の基準から~

「介護福祉士登録証」の「登録番号 第E-xxxxx号」(Eで始まる番号)は要注意!(必要な届出を行わないと資格が失効)

 平成28年の「社会福祉士及び介護福祉士法」の改正で、それまでの、介護福祉士養成施設の卒業をもって「介護福祉士となる資格」を有する取扱いが見直され、平成29年度以降の養成施設卒業者については、「介護福祉士国家試験の受験資格」を付与する取扱いとなり、5年間かけて国家試験の義務付けの漸進的な導入が図られました。

 その際、平成29年度から令和3年度までの養成施設卒業者については、国家試験に合格しなくても、卒業年度の翌年度から5年間(育児休業等をした場合は当該休業期間を加えて最長10年間)は介護福祉士となる資格を有することができる経過措置が設けられました。

 この経過措置は、令和2年の法改正で、さらに5年間延長されています。

 つまり、介護福祉士養成施設の平成29年度~令和8年度卒業者は、介護福祉士国家試験を「未受験」又は「不合格」であっても、経過措置として、資格登録を行うことで卒業後5年間(育児休業等をした場合は当該休業期間を加えて最長10年間)は介護福祉士の資格を取得することが可能となっています。

 こうした経過措置登録者の「介護福祉士登録証」の「登録番号」は、Eで始まる番号(第E-xxxxx号)で、卒業年度によって、次のとおりその経過措置の期限を迎えます。

卒業年度 期限到来日※
平成29年度 令和5年3月31日
平成30年度 令和6年3月31日
平成31年度 令和7年3月31日
令和2年度 令和8年3月31日
令和3年度 令和9年3月31日
令和4年度 令和10年3月31日
令和5年度 令和11年3月31日
令和6年度 令和12年3月31日
令和7年後 令和13年3月31日
令和8年度 令和14年3月31日

※休業のため届出を行い、資格登録有効期限の延期が認められた場合には、上記期限到来日に休業期間を加えた日まで

 さらに、この経過措置対象者の介護福祉士は、卒業日の属する年度の翌年度4月1日から継続して「介護等の業務」に5年間(育児休業等をした場合は当該休業期間を加えて最長10年間のうち、当該休業期間を除いた期間)従事した場合、国家試験に合格しなくても経過措置期間経過後も引き続き介護福祉士となる資格を有することができることとされています。この「介護等の業務」の範囲については、「介護福祉士養成施設を卒業した者に対する資格取得の特例の取扱いについて」(平成29年4月20日付け厚生労働省通知)に規定されています。

 なお、この適用を受けるためには、社会福祉振興・試験センターに「5年間の介護等業務従事届」が必要となっています。

 したがって、経過措置対象者の介護福祉士は、5年の間に、①介護福祉士国家試験に合格するか、又は、②5年間、継続して介護等の業務に従事し、必要な届出を行わなければ、介護福祉士の登録は消除されます。国家試験に合格せず、かつ5年間介護等の業務に従事しなかった場合には、社会福祉振興・試験センターへ「資格登録失効届」を提出し、登録証を返納する必要があります。

 介護福祉士の資格登録を失効したにも関わらず、介護福祉士の名称を使用して業務を続けた場合には、罰則の適用を受けることになります。

 また、介護サービス事業所等においても、介護福祉士の資格を失効した者を介護福祉士として配置し続けた場合には、問題が生じるほか、介護福祉士の配置が要件となっている介護報酬の加算の適用を受けることもできなくなり、介護報酬の返還といった事態になることも想定されます。

 経過措置の取扱いについて、直近では、令和5年3月31日に経過措置の期限が到来する「平成29年度の介護福祉士養成施設卒業者で介護福祉士試験に合格していない人」は、5年間(平成29年4 月1日~令和5年3月31日)継続して介護等の業務に従事した場合には、介護業務従事届を届出することで介護福祉士として登録を継続することができます。この場合、令和5年4月14日までに社会福祉振興・試験センターに対して届出を提出する必要があります。

 経過措置で介護福祉士として登録を受けている人には、社会福祉振興・試験センターから令和4年7月中旬に届出が必要なことを通知しているとのことですが、該当者がいる介護サービス事業所等の管理者も、届出漏れがないように確認が必要と思われます。

 介護福祉士登録証だけでは、経過措置の有効期限は分かりませんので、以下を参考に、介護福祉士としての登録の有効期限を確認する必要があります。

介護福祉士経過措置登録者の「介護福祉士登録証」

「登録番号」 Eで始まる番号 (例)第E-xxxxx号

「改正法附則第6条の2第1項該当年月」 介護福祉士養成施設の卒業年月

・介護福祉士登録証のサンプル(社会福祉振興・試験センター)は、こちら

・登録証には有効期限の記載がないため、「資格登録有効期限(変更)通知書」又は「資格登録有効期限解除通知書(介護福祉士の国家試験に合格又は5年間の介護等業務従事届を提出した場合に通知される書面)」で確認する。

・介護福祉士国家試験合格者は、「試験合格年月 令和○年○月」と記載されるが、経過措置登録者は、その後、国家試験に合格しても、登録証の記載は変更されない。(「資格登録有効期限解除通知書」が送付される。)

 

  • 厚生労働省からの事務連絡は、こちら (この事務連絡では、地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律(令和2年法律第52号)の施行による経過措置の延長のことは触れられていません。)
  • 社会福祉振興・試験センター「介護福祉士経過措置登録者の資格登録有効期限について」は、こちら
  • 社会福祉振興・試験センター「平成29年4月1日から令和9年3月31日までに介護福祉士養成施設を卒業した方の介護福祉士経過措置登録の手続きについて」は、こちら (「介護福祉士「変更登録の手引」<経過措置対象者用>」に、「介護等の業務」の範囲について記載されています。)