介護サービス基準のパズル

介護サービスの基準・解釈通知・Q&Aを読み解く ~まずは「訪問介護」の基準から~

令和3年度介護報酬改定後の省令・告示の随時改正(備忘録)

 令和6年度の介護報酬改定に係る「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等の一部を改正する省令(令和6年厚生労働省令第16号)」については、1月25日に公布されました。

 また、介護報酬改定に伴う関係告示の一部改正については、現在パブリック・コメントを実施中で、3月中旬には告示が予定されています。

 いずれの省令・告示においても、前回、令和3年度の介護報酬改定で改正した後に、随時、個別案件での改正が行われていますので、主な基準省令・報酬告示での改正について、備忘録として書き留めておきます。

 

【基準省令】
指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)

【改正】
デジタル社会の形成を図るための規制改革を推進するための厚生労働省関係省令の一部を改正する省令(令和5年12月26日厚生労働省令第161号

(改正箇所1)
第8条第2項第二号

(改正前)
二 
磁気ディスク、シー・ディー・ロムその他これらに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物をもって調製するファイルに前項に規定する重要事項を記録したものを交付する方法

(改正後)
 電磁的記録媒体(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第217条第1項において同じ。)に係る記録媒体をいう。)をもって調製するファイルに前項に規定する重要事項を記録したものを交付する方法

(改正箇所2)
第217条第1項

(改正前)
・・・については、書面に代えて、当該書面に係る電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)により行うことができる。

(改正後)
・・・については、書面に代えて、当該書面に係る電磁的記録により行うことができる。

(施行)
令和5年12月26日

 

【報酬告示】
指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年厚生省告示第19号)

【改正1】
社会福祉士及び介護福祉士法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う厚生労働省関係告示の整理に関する告示(令和4年3月31日厚生労働省告示第128号

(改正箇所)
別表「3 訪問看護費」「へ 看護・介護職員連携強化加算」 注

(改正前)
指定訪問看護事業所が、社会福祉士及び介護福祉士法(昭和62年法律第30号)第48条の3第1項の登録又は同法附則第20条第1項の登録を受けた指定訪問介護事業所と連携し、・・・

(改正後)
指定
訪問看護事業所が、社会福祉士及び介護福祉士法(昭和62年法律第30号)第48条の3第1項の登録又は同法附則第27条第1項の登録を受けた指定訪問介護事業所と連携し、・・・

(適用)
令和4年4月1日

【改正2】
指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の一部を改正する告示(令和4年4月14日厚生労働省告示第161号

(改正箇所)
別表
で、当該加算が算定対象となる各サービス費に、「介護職員等ベースアップ等支援加算」を追加

(適用)
令和
4年10月1日

【改正3】
指定居宅サー
ビスに要する費用の額の算定に関する基準等の一部を改正する告示(令和5年3月31日厚生労働省告示第125号

(改正の概要)
介護給付費算定に係る体制等についての届出は、厚生労働省老健局長が定める様式により行い、原則として、厚生労働省の「電子申請・届出システム」により提出しなければならないと改正するもの。

(改正箇所1)
表 「1 訪問介護費」 イ~ハ(略) 注2

(改正前)
・・・かつ、別に厚生労働大臣が定める基準に適合するものとして都道府県知事(地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の19第1項の指定都市(以下「指定都市」という。)及び同法第252条の22第1項の中核市(以下「中核市」という。)にあっては、指定都市又は中核市の市長。以下同じ。)に届け出た指定訪問介護事業所において・・・

(改正後)
・・・かつ、別に厚生労働大臣が定める基準に適合するものとして、厚生労働省の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下同じ。)と届出を行おうとする者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織を使用する方法であって、当該電気通信回線を通じて情報が送信され、厚生労働省の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該情報が記録されるもの(やむを得ない事情により当該方法による届出を行うことができない場合にあっては、電子メールの利用その他の適切な方法とする。以下「電子情報処理組織を使用する方法」という。)により、都道府県知事(地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の19第1項の指定都市(以下「指定都市」という。)及び同法第252条の22第1項の中核市(以下「中核市」という。)にあっては、指定都市又は中核市の市長。以下同じ。)に対し、厚生労働省老健局長(以下「老健局長」という。)が定める様式による届出を行った指定訪問介護事業所において・・・

(改正箇所2)
別表 
「1 訪問介護費」 イ~ハ(略) 注8

(改正前)
別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして都道府県知事に届け出た指定訪問介護事業所が、・・・

(改正後)
別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして、電子情報処理組織を使用する方法により、都道府県知事に対し、老健局長が定める様式による届出を行った指定訪問介護事業所が・・・

【注】以下省略

 以下、同様に、体制届についての記載がある箇所について修正が行われています。
 なお、体制届について明記されていない箇所でも、体制届の手続きを前提としている記載部分については、同様の改正が行われていますので注意が必要です。

(適用)
令和
6年4月1日

(補足)
・令和6年4月1日から適用されるものですが、厚生労働省の「法令等データベースサービス」に掲載された当該告示では、既に改正を反映しています。
・「介護保険六法 令和5年版 2」(中央法規出版)では、未適用分として、p43~に載っています。

(参考)
 ・指定申請や変更届についても、同様に、令和6年4月1日からは、厚生労働大臣が定める様式を使用して、原則として、厚生労働省の「電子申請・届出システム」により提出しなければならないことになっています。(介護保険法施行規則の一部を改正する省令(令和5年3月31日厚生労働省令第46号))
・なお、「電子申請・届出システム」の整備状況は、都道府県・市町村によってバラツキがありますが、令和8年3月末までには整備を完了することになっています。 

【改正4】
こども家庭庁設置法等の施行に伴う厚生労働省関係告示の整備に関する告示(令和5年3月31日厚生労働省告示第167号

(改正箇所)
別表
 「1 訪問介護費」 イ~ハ(略) 注1

(改正前)
・・・利用者(介護保険法施行令(平成10年政令第412号)第3条第1項第2号に規定する厚生労働大臣が定める者(指定居宅介護等の提供に当たる者として厚生労働大臣が定めるもの(平成18年厚生労働省告示第538号。注9において「居宅介護従業者基準」という。)第1条第三号、第八号及び第十三号に規定する者を除く。)が・・・)に対して、指定訪問介護を行った場合に、・・・

(改正後)
・・
・利用者(介護保険法施行令(平成10年政令第412号)第3条第1項第2号に規定する厚生労働大臣が定める者(指定居宅介護の提供に当たる者としてこども家庭庁長官及び厚生労働大臣が定めるもの等(平成18年厚生労働省告示第538号。注9において「居宅介護従業者基準」という。)第1条第三号、第八号及び第十三号に規定する者を除く。)が・・・)に対して、指定訪問介護を行った場合に、・・・

(適用)
令和
5年4月1日

 

【指導監査の身分証明書の統合】

厚生労働省の所管する法律又は政令の規定に基づく立入検査等の際に携帯する職員の身分を示す証明書の様式の特例に関する省令(令和3年10月22日厚生労働省令第175号)

  • 省令は、こちら(厚生労働省・法令等データベース)

 令和3年10月22日からは、この特例省令の規定によって、立入検査等の際に携帯する身分証明書の統合が可能となっています。
 統合様式で作成すれば、身分証明書の作成は1枚で済むなど、事務負担が軽減されます。

 この身分証明書の統合については、もともとは、令和元年度に愛知県から地方分権改革の提案で、以下のとおり意見が出されたことを受け、環境省での特例省令の制定(令和3年3月16日)を契機に、各省庁に広がったものです。

愛知県の提案(令和元年度)

(提案事項)
 環境省等所管法令における立入検査に係る身分証明書の統合

(具体的な支障事例)
 環境省等が所管する法令に基づき、地方自治体職員が立入検査を行う際の身分証明書については個々の法令で定められている。
 このため、地方自治体においては一人の職員が複数法令に基づく立入業務を行うことが殆どであるにもかかわらず、職員一人について約20種類もの身分証明書を作成しなければならず、特に職員の異動時期には身分証明書の作成業務によって大きな負担が生じている。
 また、立入先の事業所においても複数法令による規制を受けることが多いため、職員に適正な立入権限があることを確認するには、一つ一つの立入証を示す必要があり、迅速な立入検査の妨げとなってしまう。

(求める措置の具体的内容)
 個々の環境省等所管法令に基づき行う立入検査に係る身分証明書について、厚生労働省の定める環境衛生監視員証を参考に、1枚あるいは可能な限り少ない枚数の様式へ統合する。

 

【参考】
 インターネット版官報
 独立行政法人国立印刷局が提供する「インターネット版官報」では、直近90日間の官報が無料で閲覧できるほか、法律や政省令、規則などは、90日を過ぎても、平成15年7月以降であれば、その官報情報は無料で閲覧できます。

 一方、告示などは、90日を過ぎると非公開となってしまい、非常に使い勝手が悪いのが現状です。告示の中には、個人情報が記載されているものもあって、一律に公開を継続するのは難しい面があるようです。

 内閣府では、法規たる性質を有する告示については、長期的な公開対象とすることを検討しているようですので、そのうち、90日を過ぎても閲覧できるようになると思われます。